銚子美術館考

 気持ちのよい冬晴れが続いて、道端には、気の早い水仙も咲いています。
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 去年の今頃は、社会人向けの大学院で慣れない論文と格闘していました。丁度いま、元クラスメイトたちが、仕上げにかかっている頃です。
 私のテーマは、「公立美術館における公民連携」でした。つい最近、拙い論文を久し振りに読み返す機会があったので、今日は美術館に関するトピックです。
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 今年の1月にオープンした国立新美術館。故黒川紀章氏によるガラスのカーテンウォールの外観は、新聞などで目にされた方も多いのではないでしょうか。
 この美術館の特徴のひとつに、コレクションを持たない、という方針があります。つまり、「国立新美術館所蔵」の美術品がない、ということ。国公立の美術館の役割のひとつである「貴重なコレクションの散逸を防ぎ、適切な環境で保管、研究を行う」を、少なくとも今までのやり方では行っていない美術館なのです。
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 また、ライブラリー機能の充実も、この美術館の特徴といわれています。
 こうしたコンセプトは、英語名”The National Art Center, Tokyo”のほうが伝わりやすいかもしれないですね。(なぜ日本語名も「東京国立アートセンター」にしなかったんでしょうね?)

 国の最新の文化政策を反映している(と思われる)国立新美術館の考え方を、銚子にとりいれるとしたら、どんなことが考えられるでしょうか。

 再三繰り返すのもなんですが、銚子には美術館がありません。「貴重なコレクションの散逸を防ぎ、適切な環境で保管、研究を行う」が実践されていないこともさることながら、「市民が市の内外の貴重な美術品に接する場の提供」も十分に行われていないのが実情です。
 とすると、例えば、まずハコを用意して場を確保する、というのはどうでしょうか?ハコは、かならずしも新しく作る必要はなく、遊休施設の利用を考えればよいのです。一例として、京都の元明倫小学校が芸術センターとして活用されている事例を、このブログでも紹介しました。文化活動の拠点は、地域振興の観点からも注目されています。
 ですが、ハコの維持管理には莫大な費用がかかりますから、持たずに済めばそれに越したことはないのも事実。あえてハコを持たない選択肢もありえると思います。市内で利用可能なスペースを把握し、用途に応じて活用する。市内全体を美術館として捉えるわけです。最近は、「まちなか美術館」といった言葉も、よく耳にしますよね。
 新時代の「公立美術館」は、そんな形もアリなのではないかな、と最近は考えています。

 ミュージアムにおけるライブラリー機能の充実、これも最近注目されています。とはいえ、国と張り合って立派なものを作るのは無理ですし、必要もないでしょう。公正図書館を中心に学校が連携を図り、利用しやすい環境を整えることが先決でしょうね。

 一方で、どうしても欠かせない要素があります。それが、アート・ディレクター。自治体の文化政策に基づいた展覧会やイベントを企画し、実施の指揮をとる人です。他の自治体には、すでにそういう役割を果たしている人たちがいて、もっと適切な役職名があるかもしれません。
 市内の誰が、どんな作品を持っているかを把握し、展覧会の際に借り出す手配をしたり、持ち主に対して保管のアドバスなどをしたりする。新時代の美術館、ハコはなくても、やっぱり人材は不可欠ではないか、というのが今日の結論。

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